平成23年9月定例会
一般質問要旨(抜粋)
西沢可祝 議員
市民福祉葬について
経済的に厳しくお葬式ができない市民のための市民福祉葬の制度が始まって1年が経過した。利用状況及び市民の皆さまの評価、指定葬儀社数の増加の取り組み、設定料金の増額、自宅葬の利用、さらに利用者への周知について見解を問う。
市民福祉葬祭制度が施行された平成22年8月1日から平成23年3月31日までの間の利用件数は、Ill件。支出総額は、全体で1,680万円です。市民の皆様からの意見は、「良い制度ができたので、ぜひ利用したい」「高年者のみの世帯なので、大変助かる」などのご意見をいただいている。なお、改善に対しての意見や苦情は、現在のところない。指定葬儀社の数については、市内の葬儀業者に対して、協力をお願いした結果、設定料金や葬儀会場の保有状況などから、現在の社となっている。今後も、指定葬儀社を増やしていくように努める。設定料金の増額は、平成23年4月からの火葬料金の値上に伴い改定した。その他の値上がり等の情報は現在のところないので、設定料金の増額は予定していない。基本となる仕様の料金変更がある場合には、必要に応じて対応する。自宅葬の取扱いについては、必要葬祭具の運搬や自宅での家具等の移動や保管など、新たな経費の負担が生じることから、現制度での自宅葬での対応は難しい。利用者への周知については、広報そうかやホームページへの掲載、町会・自治会を通じて各家庭へのパンフレット配布、市民課窓口における広報などを実施したところ。今後も広く市民の皆様に周知する。
葬祭場建設について
草加市の葬祭場建設について、越谷市の斎場は安価で利用しやすいとの声があるが、草加市においても葬祭場を建設する考えがあるか。
葬祭場について、草加市の公営葬祭場の建設については市内に、昭和7年から運営している民営の葬祭場があり、多くの市民の方々が利用されている。そのことから、現在のところ、公営葬祭場の建設は考えていない。「市民の皆様が安心して葬儀を行える葬祭制度」への要望に応えるため、平成22年8月に「草加市市民福祉葬祭制度」を制定し、制度をとおして、市としての葬祭制度全体に対するサービスを補完しているものと考えている。
高年者世帯への取り組みについて
前期高齢者、後期高齢者の人口及び一人暮らしの高年者数と高年者のみ世帯数など市内の高年者の実態はどうなっているのか、実態調査すべきではないか。
前期高齢者、後期高齢者の人口及び一人暮らしの高年者数と高年者のみ世帯数など市内の高年者の実態については、平成23年4月1日の草加市の高齢化率は19.12%となっている。その中で前期高齢者が29,7252、後期高齢者が16,932人となっている。一人暮らしの高年者数と高年者のみ世帯数については、平成17年の国勢調査統計資料で、65歳以上のー人暮らしが4,902人、夫婦のいずれかが高年者の夫婦のみ世帯が6,784世帯となっている。一人暮らしや高年者のみ世帯への支援に対しては、市内に8ヶ所設置している地域包括支援センターがその役割を担い、見守りが必要な高年者のリストを作り、必要に応じた見守りや相談対応を行っている。高年者の実態把握については、現在は要介護認定を受けている方、特定高年者の候補者として把握した方、相談のあった方を把握しており、高年者全ての把握まで至っていない。なお、来年度以降は地域支援事業の生活機能評価において、要介護認定を受けていない方全員に基本チェックリストを送付し、特定高年者の把握をするなど実態把握をしていきたい。
おしゃべりボランティア・買い物ボランティアについて
おしゃべりボランティア・買い物ボランティアについて実施に向けてどのように進めているのか。
おしゃべりボランティア、及び、買い物ボランティアの制度については、今後、ますます増加する高年者の方々のニーズを十分把握することに努めるとともに、「おしゃべりボランティア」及び「買い物ボランティア」等、手助けを必要としている高年者に対して、将来的な展望を踏まえ、段階的に実施していくよう検討を進めているところ。まず、より短時間で気軽に利用できるような、買い物ボランティアを含めた生活支援サービスの創設について検討している。次の段階として、おしゃべりボランティアとして傾聴等の技量を身につけた人材の育成を検討する。
松楽苑について
松楽苑に入所後、加齢などに伴い要介護度が重くなる方がいると思うが、養護老人ホームでの対応が難しくなったときは、どのように処遇しているのか。また、松楽苑は大変老朽化しているが、建て替える予定はあるのか
養護老人ホーム松楽苑は生活施設ですので、入所後、入所者が年齢を重ね、要介護度が重くなってくる場合もあるが、介護保険の特定施設としての指定も受けているので、要介護状態となっても、介護等の対応が図られている。介護状態が重度化した方については、介護を主とした特別養護老人ホーム等への入所支援も行っている。松楽苑の老朽化と建て替え予定については、昭和5 1年の開所以来、居住環境を維持するために必要な修繕等の対応を図ってきた。今後も必要な修繕や設備更新等を実施する中で、既存施設の活用を図り、建て替えにつきましては、長期的な視点のもとで検討したい。
佐々木洋一 議員
被災者支援システム導入について
このたびの震災において、改めて平時からの災害時に住民本位の行政サービスが提供される体制づくりの必要性が問われた。阪神大震災を契機に現場から生まれた「被災者支援システム」を草加市にも導入すべきと考えるがどうか。
「被災者支援システム」は、罹災証明の発行、義援金の配布、生活支援金の管理、避難所及び救援物資の管理、仮設住宅の入退去の管理など、災害発生から救助・支援に至る必要な事務処理を行う上で、有効な機能を備えたシステムと認識している。運用上のコストを踏まえ、関係各課での調整など、積極的に調査検討を進める。
公文書及び市史資料のデジタル化について
草加の歴史をよく知る人の高齢化が進み、市史編さんに携わった人たちの人数も少なくなり、時間との戦いとなっている。歴史資料のデジタル化を進めるべきではないか。
歴史的公文書や市史編さん資料は市民共有の貴重な財産であり、将来にわたり保存していくべきものと認識。600箱を超える資料の適切な保管、資料の劣化、散逸の防止を図るためには、デジタル化は有効な手段と考える。
歴史資料を保存していくには、組織体制をつくるべきではないか。
組織体制については、埋蔵文化財についても大変貴重な財産であり、教育委員会としても文化財保護係(仮称)等の設置を検討している。
草加市内のマンションの地元町会への加入状況及び自治会の結成状況はどうなっているか。
市内117町会・自治会のうち、マンション自治会は21団体。未結成のマンションについては、今後速やかに調査し、加入状況を把握する。
災害発生時には、迅速な生存者の把握や救出活動が大切であり、名簿作成も行っていくべきと考えるがどうか。
マンション自治会はあくまでも任意団体ですが、市として町会・自治会への加入も含め名簿作成を要請する。
防災への取り組みを含めたマンション冊子(マンションライフの手引き)をホームページで公表し、全マンションに積極的に配布すべきと考えうるがどうか。
マンション向け冊子として、現在、入門編、トラブル編、大規模修繕編など6冊で構成された資料の一部として提供している。今回の震災を受け、冊子の内容充実を図り、市のホームページや全マンションに対する配布など、啓発活動を積極的に行っていく。
秋山由紀子 議員
地場産業の注染PRの取り組みについて
①ふささらシャツについて
草加市の伝統産業である注染によるゆかた地を使った「草加ふささらシャツ の販売・PRについて
草加商工会議所の窓口で販売している。市役所においては、毎週火曜日を「ふささらシャツ」着用の日としてPRに努めている。より多くの方の目に触れ、関心をもっていただけるよう、各イベントなどにおいて草加商工会議所と連携しPRしていく。
②ゆかた地のデザインコンテストの実施について
ゆかた地を使った洋服や小物のデザインコンテストの実施について
ご提案の「ゆかた生地を使用した洋服や小物などのコンテスト」については、注染を深く触れていただける機会拡大につながり、ゆかた生地の新しい使い方が提案される取り組みなので、実現に向け関係団体と検討していく。
認知症予防の充実について
認知症の早期発見のために簡易チェッカーを活用しての聴力検査の実施について
聴力が低下し意思の疎通がうまくいかなくなると、閉じこもりがちになるとともに認知症へと移行する恐れもある。今後、健康診査の内容および介護予防施策を総合的に考慮する中で検討すべき課題と考える。
認知症予防の事業である「音楽・回想療法」「いきいき元気サロン」「能力アップ学習教室」それぞれの特徴と参加者の状況およびその効果は。
「認知症高年者音楽・回想療法教室」は、定員が15人で10回の教室を年間3コース実施しており、参加者の平均年齢は83.6歳となっている。評価項目のチェックにおいて「意欲」「会話」「表情」「集中力」が参加前より向上したという効果があった。「生きいき元気サロン」は、会場は3ヵ所で行っており、週1回実施し、定員は3ヵ所であわせて45人で平均年齢は79.8歳となっている。「能力アップ学習教室」は、参加人数は7月の1ヶ月間で延べ56人、参加者の平均年齢は76.7歳となっている。受講後のアンケートでは「意欲が湧くようになった」「生活に張りが出た」「物忘れが減った」等の感想を頂いている。
認知サポーター養成講座について今後、若年層に対しても養成講座を開催していくべきと考えるが如何か。
世代を超えて助け合い、ふれあいのある地域社会を築いていく上でも'若年層への講座の開催はとても効果があるものと考える。平成21年度の開始以来、現在までの若年層への開催実績は、中学生向けが1回、親子で受講していただく小学生向けが1回開催されている。今後も、若年層への講座開催を進める。
市民農園について
市民農園の現況及び拡充、生産緑地の活用について
現在の市民農園数は20農園で、利用者数は668名で、待機者は88となっている。市民農園を開設することは、農地の確保と利用の促進、耕作放棄地の解消の有効な手段と考えている。自ら営農することが困難となってきている農業者などに、市民農園の開設を働きかけている。また、生産緑地を市民農園として開設することは、農地の保全管理、農業者の高齢化対策にも有効と考える。生産緑地のうち、相続税の納税猶予を受けていない農地については、市民農園として利用が可能なので、引き続き農業者へ働きかけを行っていく。
市民農園における水場の確保はできないのか。
市民農園の水場の確保についは、利用者ごとの水の使用量が異なり、利用者全員の公平性の観点から検討が必要と考える。また、市民農園の立地状況によっては水道を敷設することが困難な場所や水道を設置するための経費もあるので、慎重に検討する必要がある。
講習会の実施は考えているのか。
講習会については、農業協同組合、埼玉県農林振興センター等と連携を図り、市民農園または市民農園付近の公共施設を利用し、講習会等の開催ができるよう調整したい。
農作物の手引書の作成は考えているのか。
農作物栽培の手引書については、埼玉県農林振興センター等関係機関の指導を頂き「農作物栽培の手引書」を作成し、契約更新時に利用者に配布できるよう検討する。
大久保和敏 議員
市内の国土調査について
登記簿に記載される土地情報を正確に記すための地籍調査が全国的に進捗率が低い。草加市における地籍調査はどのようになっているのか、現状を問う。
地籍調査の実施状況については、全国で約49パーセント、県内で約30パーセントです。本市においては、現在、未実施となっていますが、土地区画整理地区約112ヘクタール、市の面積に対しまして約4パーセントは、国土調査法第19条第5項に基づく国土調査の成果と同一の効果があるものとして指定されている。
土地の液状化や軟弱地盤対策を図る上での基礎資料として「垂直調査」があるが、草加市の現況はどうなっているか。また、水調査には推計調査と水基本調査に分類されるが、それぞれについて現況を問う。
市が平成21年3月に作成し、市民の皆様に配布したハザードマップに掲載されている液状化危険度マップついては、土地分類調査に基づく資料から作成したものではなく、埼玉県が収集した県内市町村のボーリング資料を基に作成したもので、このハザードマップにより市内の全域にわたり、液状化現象が生じる可能性があると判定されている。水調査は、治水、利水に資する目的で、水系ごとに降水量、水位、流量及び利水状況に関する調査であり、調査主体は国及び都道府県となっている。この調査のうち水基本調査の地下水調査では、全国の概ね30メートル以上の深井戸、約6,000件がデータペース化されている。本市についても34箇所の井戸の深さやph(ペーハー)すなわち水素イオン指数などのデータも登録されており、利水の資料として活用されています。
地籍調査を行っていない場合、公共用地の適正管理における弊害や、境界線確認に時間とコストがかかるなど、様々な弊害があるが、草加市として地籍調査の基本計画を作成し、一歩踏み出すべきではないか。
地籍調査を実施する場合、本市においては、土地の権利関係が複雑であること及び筆数が細分化されていることから、地籍調査を行った場合、権利者の承諾が得られにくいなど、市の負担額が増加する可能性かある。地籍調査の実施について関係機関と協議を行い、調査、研究を図ってまいりたい。
市内道水路の権原の状況すなわち公的機関の所有割合及び国有財産などの譲与の実態について、地籍調査が行われていないために、本来、市内の所有権者の実態が未整理となっている場所もあると聞いている。その実態と整理に向けた作業が必要と考えるがどうか。
市内道水路の権原の状況すなわち公的機関の所有割合及び国有財産などの譲与の実態については、市内の公的機関の所有割合の状況は、現在、市が管理している市道は延長約590キロメートル、水路は延長約321キロメートルです。そのうち、市以外の公的機関が所有する割合は、旧内務省などの国が約2パーセント、県が約3パーセント、合計約5パーセントとなっている。成17年3月31日までに、平成10年5月29日に閣議決定した地方分権推進計画に基づき、国土交通省所管の国有財産が市へ譲与されている。
国土調査法19条5項の指定地域はどこか。また、この条項を使い進捗率は上げられないのか。
国土調査法第19条第5項に該当する主な地区は、稲荷町土地区画整理事業地区54.5ヘクタール、草加駅西側の氷川町土地区画整理事業地区34.1ヘクタール、手代町土地区画整理事業地区16.3ヘクタールなどとなっている。また、進捗率の向上については、新田西部土地区画整理事業地区や瀬崎町土地区画整理事業地区、市街地再開発事業地区などは、地籍が一定程度明らかになっていることから、国土調査法第19条第5項の指定について、県と調整し、進捗率向上を図ってまいりたい。
地籍調査は、事業を受け持つ市町村の動向にかかっている。調査に必要な経費は国が1/2補助し、全体の1/4は都道府県が補助し、さらに市町村が負担する経費については80%が特別交付税の対象となっている。国も自治体の相談に柔軟に対応するとしているが、市長のリーダーシップで基盤整備として地籍調査を行う考えはないか。
地籍調査の実施については、本市は、市域の大部分が人口集中地区であるため、土地の権利関係が複雑になっていることから、土地情報の明確化を図る地籍調査は、費用面も含めまして、有効な事業であると認識している。しかしながら、調査を実施した場合、事業費は膨大な費用が見込まれ、市としても大きな経費の負担となる可能性がある。地籍調査は、土地取引や民間開発事業の円滑化及び公共事業の推進、まちづくりなどにおいても重要であり、さらに、今回の大震災等を踏まえ、市民の財産を守る上でも、事業の実施について前向きに検討を進めてまいりたい。